【後編】日常介護の難題に有効な一手? 世界も注目の排泄予測デバイス「DFree(ディー・フリー)」で介護者負担を軽減『高齢者のお悩みは世界の課題 「DFree」が果たす役割とは 〜トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社〜』

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ウェアラブルの排泄予測デバイス「DFree(ディー・フリー)」を使えば、膀胱の膨らみを超音波で計測し、尿の貯まり具合を数値で知ることができます。これまで国内200ほどの介護施設で導入され、食事や入浴の介助と並んで負担の大きい、排泄ケアに役立てられています。

前編ではその開発の経緯や介護施設での使われ方についてお聞きしました。後編では引き続き、生みの親であるトリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社 代表取締役の中西敦士氏に、世界での展開を含めた、今後の「DFree」の可能性についてお聞きします。

体温・血圧・歩数・睡眠をログ管理するように、排泄管理・予測も日常的に

排泄予測デバイス
Q:排泄予測デバイス「DFree」は介護施設など法人向けに引き続き、個人向けの販売も始められているとのことですね。

A:2018年7月から行っています。これまでインターネット販売のみだったのを、日本では2019年3月から家電量販店での取り扱いも始めました。販売場所は主に、体温計や血圧計などがあるようなヘルスケアコーナーに置かれています。
体温や血圧といった数値も、もともとは個人が日常的に管理することはなかったと思いますが、それを計ることで体調管理が容易になったと思います。
最近では、ウェアラブル製品やアプリの普及で、睡眠や心拍などもログ管理するようになっていますよね。排尿のデータも同様に、可視化することで自分の傾向が把握でき、健康管理やQOL(生活の質)向上に役立ててもらえるのではないかと思います。

「超高齢先進国」の日本から、各国の事情に合わせて世界へ発信

排泄予測デバイス
Q:世界の国々での反響はいかがでしょうか。

A:当社はフランスとアメリカにも支社を置いています。各国ごとに医療・介護の保険制度や体制が異なるので、マーケティング的にも様々なアプローチを行っています。例えばヨーロッパでは、介護に対する社会保障が比較的手厚く、介護施設がM&Aにより大規模になっています。
800施設8万床といった規模の法人もあります。その本部が多く置かれているのがフランスなので、当社もそこを拠点としています。以上の理由から、ヨーロッパではフランスを拠点として、そのような大規模介護施設とのトライアルを進めています。
一方、アメリカでは公的な介護保険やサポートが十分ではなく、在宅での家族介護が一般的なので、個人向け展開を中心に進めています。

Q:毎年1月にラスベガスで開催され、世界が注目する電子機器見本市CESでも評価が高かったそうですね。

A:CES2019で4つのアワードに輝きました。多くがヘルスケア部門での受賞です。
評価のポイントはガジェットの面白さと言うよりは、ヘルスケア領域で役に立つ可能性に対してだったと感じています。高齢化社会は全世界的な課題ですが、「高齢先進国」日本として、それに対応していくユニークなアプローチとして評価されました。世界の潮流としてSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)もあり、どのような課題を解決できるのかといったストーリーや着眼ポイントが、全体的に注目を集めていた気がします。

Q:ほかの地域、例えばアジアではいかがでしょうか。

A:中国では関心が高く、介護施設でのトライアルの相談を進めています。
また、韓国や香港・台湾・シンガポールなど多くの国からの問い合わせもあり、それぞれに対応しています。アジアも日本と同様に高齢化が進んできていますので、各国の状況を見据えつつ、展開を図っていくこととなるでしょう。

人生100年時代における、シニアの社会進出にも貢献

Q:「DFree」の今後の使われ方について、展望を教えてください。

A: 個人向けのご利用にはいろいろな可能性を感じています。高齢になると過活動膀胱や頻尿、尿漏れなどのお悩みがつきものですが、その解決策としてもご使用いただけるのではないでしょうか。
老化現象だからと皆さん諦めがちですが、人生100年時代と言われるこれからの日本では、シニアの再雇用も活発になっていくはずですし、健康寿命を延ばすことがこれまで以上の関心事になってくるでしょう。より積極的に社会参加をしていこうという時に、トイレの不安が足かせになるのは避けたいですよね。

実際に、尿漏れが心配で早め早めにトイレに行っていると、溜める機能が徐々に弱まっていくと医学的にも言われています。
病院の泌尿器科では、尿漏れや頻尿のタイプに合わせて膀胱トレーニングを推奨される医師もいらっしゃいます。尿意を感じた時にちょっと我慢してからトイレに行く。
その間隔を、5分10分と徐々に伸ばしていって、溜める機能を鍛えていくというものです。

「DFree」があれば、尿の溜まり具合を目で見て確認しながら、まだ3なのにトイレに行きたくなってしまっている、もう少し我慢してみようなどとご自身で自覚しながらトレーニングできるわけですね。このような利用方法を、医師の指導のもとに進められればお悩み解決にも役立つと思うので、医療監修を受けながら啓発を図っていきたいと考えています。

Q:トイレのことでお悩みの方と言うと、とても裾野が広そうですね。

A:女性の場合は、出産後に尿漏れを経験することが多いようです。ですが高齢の方のお悩みと同じで、まだまだ気軽に相談できる感じではないようです。ご高齢の方に排尿の悩みについてお話をお伺いしようとすると自分にはまだ早いと断られるなど、口に出すのは恥ずかしいといったご様子もあります。その辺りの意識も少しずつ変えていきたいですし、話題にしやすい空気を醸成していきたいと思います。

「DFree」の名は、おむつを意味する英語のdiaper(ダイパー)の頭文字Dと、「自由」「捉われない」「解放」を意味するfreeを組み合わせたものです。おむつがゼロになるということは現実的には難しいと思いますが、排泄は人としての尊厳に関わる大事なことですから、自立排泄をしたいという気持ちをお手伝いして、おむつの開始タイミングを遅らせることに貢献したいですね。

また、リハビリ中の方や障がいのあるお子さんなどについても、ご利用いただけるのではないかと考えています。
いずれの場合も社会復帰、社会参加のためには排泄コントロールが重要なものとなります。このように、トイレの悩みといっても様々なケースがありますので、今後は、悩みごとに合わせた使い方やお役立て方を分かりやすく整理し、紹介していきたいと思います。

(プロフィール)
トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社
代表取締役
中西 敦士

慶應義塾大学商学部卒。大手企業向けのヘルスケアを含む新規事業立ち上げのコンサルティング業務に従事。 その後、青年海外協力隊でフィリピンに赴任。2013年よりUC Berkeleyに留学し、2014年に米国にてTriple Wを創業。2015年に日本にてトリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社を設立。著書に「10分後にうんこが出ます−排泄予知デバイス開発物語−」(2016年・新潮社刊)。

トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社
https://www-biz.co/

法人向け「DFree Professional」排泄予測サービス
https://pro.dfree.io/

個人向け「DFree Personal」排泄予測サービス
https://dfree.biz/

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