【後編】東京の空き家利活用が地域活性化ビジネスの源に! 『地域と外国人をつなぐコミュニティの役割と新しいライフスタイルの創出 〜株式会社Little Japan〜』

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空き家を活用したゲストハウス「Little Japan」を運営する株式会社Little Japan 代表取締役の柚木理雄氏に、前編では空き家事業を始めたきっかけや、ゲストハウスとして運用するまでの課題などについてお聞きしました。
後編では引き続き、ゲストハウスの運営で大切にしていることや、空き家事業を通じての地域活性化の試み、そして今後の展望などの話をお聞きしています。

外国人旅行者と地域住民などが交流を持てる場に

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Q:外国人の方にゲストハウスを利用してもらうに当たって、大切にしていることを教えてください。

A:ゲストハウス「Little Japan」のコンセプトは2つあり、ひとつが「Meet Locals」で、日本語で「地域と世界をつなぐ」という意味です。私はバックパッカーの経験があり、現地の方と触れ合うのが楽しかったので、その経験がもとになっています。

以前は、ゲストハウスは安宿というイメージを持たれる方が比較的多い傾向にあり、シーツは自分でセットするものだったのですが、今は個室だけのゲストハウスもあり、シーツがセットしてあったり、タオルが用意されていたり、通常のホテルと変わらなくなってきています。
しかし、そのような設備的な違いだけでなく、ホテルでは隣の部屋の人と話をすることは少ないと思いますが、ゲストハウスでは他の宿泊者や現地の方とコミュニケーションを取れるということが、いちばん大きな違いなのではないかと思っています。「Little Japan」には現地の浅草橋界隈の方もいらしてくれますし、日本全国の自治体のPRも行っているので、地方から来られる方も多いです。

ゲストハウスは、普通に運営していると海外の旅行者が8〜9割くらいになってしまいますが、私はここに「小さい海外」をつくるつもりはなく、いろいろな地方の方や浅草橋周辺の方も呼び込み、旅行者にとっての日本への入り口、地域への入り口とすることを意識しています。

Q:地域の方はどのようにして呼び込んでいるのでしょうか。

A:初めに町内会の会長さんのところにご挨拶に伺い、オープニングや1周年の際には町内会の方をお招きしてイベントを開催しました。カフェバーにはこの地域の方がいらっしゃることも多く、町内会の役員の方が飲みに来てくださることもあります。
まず、出入りがあるようにする、触れ合える機会をつくるようにすることが大切だと考えています。

Q:ゲストハウス「Little Japan」のもうひとつのコンセプトはどのようなものでしょうか。

A:もうひとつのコンセプトは、「Come as a guest 、 for as a friend」です。
「初めて来る時はゲストだけれども、友だちになって帰ってもらおう」というものです。スタッフは相手の名前を覚え、こちらも自己紹介をして、全く知らない人がただ泊まっていつの間にか部屋をあとにするのではなく、友だちになって帰ってもらおうということを意識して行っています。

空き家事業を通じて新しいライフスタイルを創る

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Q: 空き家事業の反響はいかがでしょうか。

A: 空き家事業に取り組んできて、最近は新聞やWEBメディアから取材依頼を受けることが多く、空き家問題への関心が高まっていると感じています。

Q: 空き家事業を通じての地域活性化への試みについて教えてください。

A:空き家を地域活性化のため、地方でゲストハウスや宿泊施設に活用して、人を呼び込もうとするケースが多いようですが、補助金をつけてもあまり上手くいってはいないと思います。

それよりも私が可能性を期待できると思っているのは、二拠点居住、多拠点居住への空き家の活用です。そこで、現在展開しているのが全国のホステルが月額制で泊まり放題になる「Hostel Life」というサービスです。
今のところ、北海道から九州まで、札幌・仙台・東京・大阪・京都・名古屋・福岡など、主に都市部に国内13、台湾に1の提携施設があります。

ターゲットとしては、例えば東京で、1時間〜1時間半掛けて通勤しているサラリーマンです。
これまでは通勤定期を購入して会社に通っていたところを、平日はゲストハウスから都心の会社に通い、週末は自宅に帰るといったライフスタイルを提唱しています。そうすれば、通勤定期を購入していたお金を「Hostel Life」の費用にするだけで、満員電車に悩まされることもなく時間に余裕が生まれるので、兼業や副業をしたり、起業をしたり、あるいは趣味を楽しんだりすることもできます。

都内近郊では、通勤に掛かる時間が1時間以上の方は50%程度、1時間半以上の方は5%程度いると見られていますが、次のステップとして、「Hostel Life」を活用して週に1回自宅に帰るスタイルなら、通勤時間2〜3時間圏内まで居住圏を広げられるのではないかと考えています。群馬や栃木、あるいは千葉の太平洋側のほうからも東京に通えるようになるので、そのようなエリアから都心への経路上にある空き家を活用して、東京で働くことが実現できます。

例えば、週末にサーフィンをやりたい人の場合、千葉の沿岸部などに住居を構え、平日にはゲストハウスを利用すれば、都会の生活と地方の自然ある生活の両方を楽しむことができる手段となります。家族向けの広さの家も、地方なら安いコストで借りることができる傾向にあります。
旅行者向けではなく、多くの人が利用可能なライフスタイルとして実現させていきたいです。
まずは、通勤1時間半圏内にある空き家を住居として活用していくことに、今年は力を入れていくことを考えています。

地域の資源を活用して新たなビジネスを生む

Q: 株式会社Little Japanのそのほかの事業について、お話いただけますか。

A:地方に住みたい人にとってクリアすべきものとなるのは家と仕事です。
実際に移住しようとすると、空き家があるのに貸してもらえないということが問題になりやすいようです。また、地方には仕事がないと言われますが、担い手不足とも言われていて、実際に地域づくりや産業の担い手としての人材が不足しているのが現状です。原因は少子高齢化や人口減少などが挙げられますが、そのような中でも地方には仕事がないと言われるのは、仕事が見つけにくいことや求職者側の思っている仕事と違うことが要因にあります。

そこで、東京から1時間半〜2時間半のエリアにある空き家を提供し、東京を拠点にしている人にそこで暮らしてもらう活動を進めています。兼業などで現地の仕事にも関わってもらえたら良いですね。また、別の事業として、地方の仕事と東京から地方に移って暮らしたい人のマッチングを行っています。それから、地方に住みたい人のためのコミュニティづくりとして、「LOCALIST TOKYO」という交流の場も設けています。毎月15人だけ新メンバーを募集していますが、すぐに満席になるので、関心度は高いのかなと思います。

Q: 今後の展望について教えてください。

A:先ほどお話した「Hostel Life」を活用して、東京と田舎の二拠点居住を楽しんでもらい、空き家問題を解決していくことです。そして、地方に住みたい人と地方にある仕事をマッチングすること、これを中心にしていきたいですね。

私個人としては、今年4月から中央大学の特任准教授になります。講義ごとに村と提携して、村の資源を活かしたビジネスをつくるというクラスを3つ担当します。1クラス30名で、2年間同じ学生たちと進めていきます。株式会社Little Japanの「地域の資源を活かした事業を創る」というミッションともマッチするので、新しいプレイヤーを育てることにも力を入れていきたいと思っています。これをきっかけに地域のことに関心を持って起業する学生が出てきてくれたら良いですね。

空き家問題の解決策として示された、二拠点居住・多拠点居住という新たなライフスタイルは、地域活性化にもつながるものとして、今後ますます注目を集めていきそうです。

(プロフィール)

株式会社Little Japan
代表取締役 
NPO法人芸術家の村
理事長
中央大学特任准教授
柚木 理雄

京都大学卒業後、農林水産省に入省。2012年にNPO法人芸術家の村を立ち上げ、空き家を活用した場・コミュニティづくりを行う。2017年、「地域の資源を活かした事業を創る」をミッションに掲げ、株式会社Little Japanを創業。2019年4月より、中央大学の特任准教授に就任。自治体と提携し、学生とともに地域の資源を活かした事業を創るという新たな取り組みにチャレンジしている。

株式会社Little Japan
http://www.littlejapan.jp/home-en

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