古民家を民泊運用で活用! 「バケーションレンタル」による効果は?

ソーシャル

関連キーワード
民泊
民泊施設として運用している「古民家の宿」が国内・海外の旅行者の間で静かなブームを呼んでいます。
「古民家の宿」とは地方にある比較的広く古い空き家となった家を宿泊施設に改築し、旅行者に利用してもらうことを目的にしたものです。
空き家の活用法のひとつである「バケーションレンタル(民泊による貸別荘)」は、その地域にどのような効果をもたらしているのでしょうか。
幾つかのケースを紹介しながら、この民泊による空き家利活用についてお伝えします。

訪日旅行者がしたいことのひとつは日本の歴史・伝統文化体験

観光庁が行った2017年の訪日旅行者の調査によると、その61.4%が訪日2回以上のリピーターとのことです。
最初の訪日時は定番の観光スポット巡りの場合がほとんどですが、訪日回数を重ねると地方を訪ねる傾向が強くなっていくと報告されています。
また、観光やレジャーで実際にやってみたいこととして「日本の酒を飲む」「温泉入浴」「テーマパーク」と並んで「歴史・伝統文化体験」が上位に挙がっています。
この「歴史・伝統文化体験」を楽しめるのが、「古民家の宿」に宿泊することです。

このような訪日旅行者の傾向を見据え、2020年の東京オリンピックでさらに海外からの旅行者が増えるとの期待もあって、地方にある古民家を改築して民泊運営に活用しようとする動きが活発化しています。

「古民家の宿」の魅力とは

民泊
まず、古民家の魅力とはどのようなものでしょうか。日本で暮らしていると古くからの日本的なものは当たり前に感じられ、その良さに気づかないまま見過ごしてしまいます。
1960年代の高度経済成長期以降、日本は急速な都市化が進みましたが、一方で地方の開発は忘れられがちでした。ところが、そのおかげで地方には古き良き時代のものが手つかずの状態で残されることになったのです。
古民家もそうした今まで忘れられていた日本の魅力のひとつと言えます。

古民家とひと口に言っても、ただ見た目に古ければそう呼ばれるということではありません。
おおむね建築後50年が経過した建物を指す場合が多いようですが、一般社団法人 全国古民家再生協会では「1950年の建築基準法の制定時には既に建てられていた伝統的建造物の住宅、即ち伝統構法で建てられた家屋」として古民家を定義づけています。

必要なのは経済的効果を生み出すこと

誰よりも早く古民家の魅力を発見したのは、アメリカ出身で日本在住という東洋文化の研究者でした。1971年、徳島県の山岳地帯に位置する祖谷(いや)地域の空き家となった古民家の姿に感動し、その後それを改築して民泊施設として活用できないかと考えました。
祖谷地域は、険しい山々に囲まれたところです。
今でこそ「かずら橋」などの景観の美しさや豊かな自然で知られるようになりましたが、「古民家の宿」ができるまでは過疎化が進んで人の住まなくなった空き家が何軒か放置されたままの寂れた場所でした。そこから茅葺屋根の古民家を何軒か選び、改築を施して宿泊施設にしたのです。ここで敢えて強調しておきたいのは、宿泊施設への改築は決して文化財として古い建物を保護するためではないということです。
もちろん日本特有の古民家の魅力を維持するように努めた上、あくまでも経済的な効果が見込める空き家の利活用ということを目指しています。
そのため、例えば、古民家特有の黒光りする板張りの床やごつい梁や柱など使えるものはそのまま使い、その一方で浴室やキッチンといった水回り、冷暖房などの設備は新しい仕様にして、快適に宿泊できるよう工夫されています。

地方自治体が事業主となりプロジェクトを推進

それでは、古民家の改築はどのように進められたのでしょうか。改築に当たっては地元の自治体が事業主となり、その費用には国と自治体から交付される補助金を用いています。
自治体が事業主となったのは、家屋の改築と言っても個人が全てをコントロールするのは容易でなかったことからです。そこで、自治体と協同で、古民家(空き家)の活用をひとつの地域プロジェクトとして立ち上げ、その効果を地方再生に結び付けていくことにしました。
結果として、この新しいコンセプトを持った「古民家の宿」は海外でも注目されるようになり、「日本の文化を体験できる宿泊施設」ということで英語サイトでも紹介され、インバウンドの旅行者が訪れるようになりました。
今では長崎県の五島列島や香川県の多津町、奈良県の十津川村などでも「古民家の宿」がつくられています。

一般企業との連携、協力を通じて古民家の民泊運営をサポート

民泊
こうした動きを踏まえ、2018年10月には茨城県の古河市と全国古民家再生協会、民泊運用代行会社、さらには世界最大級のバケーションレンタル会社の4者により「古河市における歴史的建築物活用に関する協力協定」が締結され、空き家となった古民家の民泊運営に向けて連携、協力する運びとなりました。
具体的には、古河市が古民家の民泊運営のまとめ役として統合事業体となり、ほかの3者が古河市の傘下でそれぞれの役割を果たすことになります。バケーションレンタル会社が世界各地から集めたグローバル的な民泊情報、海外の人たちはどのようなタイプの宿泊施設に泊まりたがっているのかといった情報に基づいて、全国古民家再生協会が民泊に適した空き家を選びます。
同協会は、選択の基準として、2018年に制定された「民泊新法」に照らし合わせ、物件の安全衛生面・耐震強度・日本の伝統的なデザインの高さ・建物の維持管理のしやすさなどをチェックし、民泊に適した古民家かどうかを判断します。そして、建物に手を加える必要がある場合は改築を行います。
その際の費用について、例えば古河市の場合では国から交付される「農泊交付金」を利用しています。
農泊交付金とは、農泊と呼ばれる「農山漁村滞在型旅行」の宿泊施設を提供する農家民宿や古民家を増やしていくために交付される援助金のことです。そのほかにも、兵庫県の古民家では「古民家再生促進支援事業」として改修工事費助成を受けることにしています。
この助成金はその古民家を「地域活動や交流の拠点、宿泊体験施設、店舗等地域の賑わいや活性化に資する施設(地域交流施設等)」として再生する場合にのみ適用されます。

情報を上手く循環させながら古民家需要に対応

話を古河市のプロジェクトに戻しますが、上述のように全国古民家再生協会の判断や支援によって民泊に適した空き家が決まると、同協会はその古民家の情報を民泊運用代行会社に渡し、民泊運用代行会社が民泊の運用と集客を行います。
集客に際しては、国内だけに留まらず、バケーションレンタル会社にも古民家の情報を提供し、海外の旅行者が多く利用するインターネットサイト上で公開することでインバウンドの集客に努めています。さらにこのバケーションレンタル会社は、集客活動を通して得た情報、例えばどのような古民家が人気なのかといった情報を全国古民家再生協会に渡し、需要に合った古民家を選択します。
古民家の民泊運営に必要な情報をバケーションレンタル会社・全国古民家再生協会・民泊運用代行会社の間で共有しながら、より需要に合った古民家を市場に出していくという仕組みを構築しているのです。
現在、古河市ではこの仕組みを活用して、東京ドームの約2倍の敷地を持つ築144年の物件を改築するプロジェクトが進行中です。完成予定の2020年には、友人のグループや家族連れがゆったりと滞在できる「バケーションレンタル」として運用されることになっています。

1990年代末に始まった古民家の民泊運営は、訪日旅行者の増加と各地での空き家の増加により、近年ますます活発な動きを見せるようになってきました。
今回は主に、古河市で締結された「古河市における歴史的建築物活用に関する協力協定」に焦点を当て、その協定の仕組みをご紹介しました。
2020年東京オリンピックも間近に迫っている今、これからも海外からの旅行者が増えると予想されており、それだけにより多くの古民家の民泊利活用も期待されているのです。

増加が見込まれる訪日旅行者のニーズにも対応するため、レオパレス21では2018年12月より民泊物件の運営を開始しました。
新しいテクノロジーの導入や充実した管理体制を整え、安全・快適な宿泊サービスが提供できるよう物件の運営を行っていきます。

レオパレス21が同社初となる民泊物件の運営を開始
https://www.leopalace21.co.jp/news/2018/1219_2714.html

その他のおすすめ記事

その他のソーシャルの記事

キーワード一覧

 ページトップ