東京都の老朽化した集合住宅の建て替えが進む? 新たに創設される条例の中身など解説

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東京都は、不動産会社が老朽化した集合住宅を買い取ると、別の場所に建設するマンションの容積率が緩和される条例を創設する方針のようです。
これは古くなったマンションの建て替えの促進を意図するものとされているようです。
このような、建て替え支援の背景や制度の概要、課題などについて解説します。

進むマンションの老朽化と、居住者の高齢化

高度成長期以降、マンションなどの集合住宅が日本中で数多く建設されました。
現在、これらの集合住宅の老朽化が全国的に進行しています。国土交通省の発表では、2012年時点での全国のマンションストック総数は約590万戸、内1981年の建築基準法改正前の旧耐震基準で建築されたものが約106万戸を占めているとのことです。そして、その建物の多くは耐震性が不足していると考えられているようです。

特に、集合住宅が集中する東京都では社会課題になっているようです。東京都が行った「マンション実態調査(2011年度)」によれば、こちらは単位が棟数になりますが、都内にある分譲マンションは約 5.3 万棟、その内、旧耐震基準のものが約 1.2万棟に上ります。
さらに「住宅・土地統計調査(2013年度・総務省)」の結果から、1980年以前に建築されたマンションの半数以上で、世帯主の年齢が 65 歳を超えており、建物だけでなくそこに住む住人の高齢化も進んでいることが明らかになってきているようです。

首都直下地震などの発生も危惧される中、このような耐震性不足の老朽マンションの増加や住人の高齢化は、災害時の安全を確保する上で大きなリスクになると考えられ、現行の耐震基準に適合する建物への建て替えや修繕が早急に求められています。

しかし、「お金が用意できない」「今更建て替えにお金を出したくない」など、住人(区分所有者)の資金的問題や、「今のマンションに永住したい」と望む声、現行の耐震基準で建て替えると「容積率」が下がるため不動産会社やデベロッパー側も建て替えを敬遠しやすい、といった理由から老朽マンションの建て替えや修繕は現状、うまく進んでいないようです。

東京都では老朽マンションの建て替えを促進する新たな条例を計画中

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このような状況の中、東京都は老朽マンションの建て替えを促進する、新たな制度の創設を計画中です。
不動産会社やデベロッパーが老朽マンションを買い取ることを条件に、特例として容積率を上乗せし、建て替えを促すためのもので、新聞報道によると早ければ2019年度中にも創設される可能性があります。

この新条例で予定されている主な内容は、次のようなものになります。

・不動産会社やデベロッパーが老朽化したマンションを買い取ると、特例として別の場所に新たに建造する新築マンションの容積率を上乗せする。
・買い取りした跡地に新築マンションを建造する場合でも、別の場所で老朽化したマンションを買い取っていれば、新築マンションの容積率を上乗せする。
・老朽化したマンションを買い取った不動産会社が、元々住んでいた住人の転居や移住先となるマンションを建造した場合、その新築マンションの容積率も上乗せする。

容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合を指します。容積率が高く設定された物件ほど多くの床面積を確保できるため、上乗せ分によって、新しく建設されるマンションの戸数を増やすことができるようになるのです。そのような点から、この制度が創設されると不動産会社やデベロッパーは老朽化したマンションの買い取りや建て替えが行いやすくなります。

尚、この新制度の前段として、2014年に施行された「マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律」があります。この法律では、一定の敷地面積を有する耐震性不足のマンションについて、特定行政庁の許可により容積率制限を緩和する措置が設けられています。さらに区分所有者等の4/5以上の賛成があれば、全員の同意がなくともマンションの売却や解体が行えるようにしています。

その上で、今回の東京都の新条例が創設されると、マンションによってはこれまで以上に容積率の制限緩和や上乗せ分は大きくなり、老朽マンション問題の解消が早まることが期待されます。

「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」について

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東京都では、2019年3月に「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」という新条例を制定しました。
こちらはマンションの管理面を改善していくための条例です。「管理規約がしっかりと定められていない」「修繕費の積み立てが行われていない」「大規模修繕を行ってない」など、管理面で問題を抱えているマンションが東京都には多数あり、老朽化や住人の高齢化に加えて、管理不全の問題まで抱えているマンションの場合、いずれマンションの住人のみならず周囲の環境にまで悪影響が及ぶことが危惧されてきました。

「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」は、「東京都」「管理組合」「区分所有者」「マンション管理士」「マンション管理業者」といった関係者が一丸となり、マンションの管理を改善していくことを定めた条例です。

・東京都は、マンション管理を改善するために必要な支援を行う。
・管理組合は、管理規約・総会の開催・修繕費の積み立て・修繕計画の作成など、条例にて定められた管理を徹底する。
・区分所有者は、管理組合の運営に参加するよう努力する。
・マンション管理士、マンション管理業者は、専門知識を用いて助言やサポートを行う。

条例で各々の役割や責務を明確化し、管理不全に陥っているマンションの管理方法を関係者全員で改善していく狙いがあるようです。
また、この条例により、1983年12月31日以前に建てられ、人の居住の用に供する独立部分の数が6以上あるマンションに関しては、管理状況の詳細をまとめた届け出が必須となる予定です(届出は2020年4月から予定)。築年数の古い老朽マンションでは、より厳格に状況を確認し、管理を改善していくことが求められるでしょう。

このように東京都は、マンション管理の面からも老朽化問題に取り組んでおり、解決に向けた施策を進めているようです。

マンションの老朽化は東京都だけの問題ではありません。老朽マンションは全国的に増えており、これから時間が経過するほどさらに状況が悪化していくと懸念されるでしょう。マンションなど集合住宅の多い東京都ではいち早く対応策を打ち出していますが、そのほかの自治体においても早急な対応が求められていると言えるでしょう。

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