【前編】超高齢化社会が抱える高齢者の心の問題の一助に!『アニマルセラピー活動とは? 〜NPO法人日本アニマルセラピー協会』

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日本アニマルセラピー協会
日本では高齢化が益々進んでおり、特別養護老人ホームなどの高齢者施設に暮らしている方々はどうしても外の世界と切り離されてしまいがちです。その様ななか、ボランティアによる施設訪問をはじめ様々な活動が行われていますし、また、動物と接することで心身に癒しをもたらすと言われる「アニマルセラピー活動」が注目されています。
その活動とは具体的にどのようなものなのか、NPO法人 日本アニマルセラピー協会の風間詠子理事長(写真右)とソーシャルプランナーの奥村孝志氏(写真左)に話をお聞きします。

延べ7万人に提供。セラピー犬による心身の癒し

日本アニマルセラピー協会
Q:「アニマルセラピー活動」とは、どういうものですか。

風間:動物との触れあいは、現代人の心に安らぎや癒しを与えてくれるものです。
人と動物との触れ合いを通じ、動物が持つ不思議な癒しの力を借りて医療や介護、教育の現場などで心身を健康に導く活動が「アニマルセラピー活動」です。

NPO法人 日本アニマルセラピー協会では、古くから人に寄り添い、人の心を理解すると言われる「犬」を中心に、それをハンドリングするアニマルセラピストとセラピー犬が二人三脚で、様々な施設を訪問し、活動しています。2007年の設立以来、延べ7万人の方々にアニマルセラピーを行ってきました。 一般にアニマルセラピーと言えば、昔からドルフィンセラピーやホースセラピーもありますが、いずれも飼育が容易ではない、コストが高いなどの理由で身近に触れ合える機会が少ないという点があります。犬の場合、一番人間に身近な動物ですし、また馬やイルカ同様知能が高いため、アニマルセラピーには一番適しているといえます。

当協会では犬種やその気質により、トレーニングを通じて利用者様のニーズに応じたセラピー犬を育成しております。ドッグセラピーの他に、インコや、オウムなどの鳥によるバードセラピーも行っており、アニマルセラピーの幅を広げています。

欧米ではAAI (動物介在介入)とまとめて呼ぶことが多いようですが、
私たちは動物が施設などで活動の手助けをするAAA(動物介在活動)
動物が教師を通して教育の現場で手助けをするAAE(動物介在教育)
そして、動物が医師を通して患者の機能、QOLの向上の手助けをするAAT(動物介在療法)
に分けて活動しています。

1頭に一人のアニマルセラピストが付き、コミュニケーションをお手伝い

Q:セラピー犬の訪問は、どのように行われているのですか。

奥村:訪問は当協会としては年500件ほどで、訪問先は高齢者施設や障がい者施設、学校、病院、児童養護施設などがあり、年に1度から毎月といった具合に利用頻度も様々です。

統括本部のある神奈川や東京での地の利を生かした活動が活発ですが、他にも本部支部があり、東北地方、京都や福岡など様々な拠点に活動の輪が広がっています。

基本的には人と犬が一対になり、さらに全体を取りまとめるリーダーが1人つくので、5人と4頭くらいのチームで訪問することが多いです。犬の犬種を含め施設からのご要望にはなるべくお応えするようにしています。

プログラムは犬の集中力を考え、1回約45分としています。利用者の方に輪になって座ってもらい、1頭ずつ犬を連れたアニマルセラピストが順に回っていき、自由に犬に触っていただきます。セラピー犬は嫌がったり、無駄に吠えたりしない、利用者の方のどのような動きにも過度に反応しないように訓練されています。

アニマルセラピストは利用者の方の様子を見ながら、触れ合いを促したり、間に立ってコミュニケーションを図ります。犬が苦手だったり、ちょっと怖いといった雰囲気があれば無理強いはせず、犬と関係のない会話をさせていただいたりもします。犬の習性を踏まえて、空気を読みながら触れ合いのお手伝いをする感じですね。犬にも笑顔で活動ができるようにアジリティなども取り入れて活動しています。

高齢者施設では、以前に犬を飼っていたという方も多く、単調な日々の生活からすれば一大イベントでもあり、大変楽しみにされていらっしゃる方も多いです。

セラピー犬をたくさんの方に知っていただき、人と犬双方が支えあうことで生活の質を高めていきたい

日本アニマルセラピー協会
Q:セラピー犬には、どのような犬がいるのでしょうか。

風間:セラピー犬には基本どんな犬種でもなれます。我が協会では、ゴールデンレトリーバーやシェパードなどの大型犬から柴のような中型犬、トイプードルなどの小型犬も。より優しく見えるということでは、黒々しているよりは白っぽい毛色であったり、たれ耳の犬がセラピー犬には向いているでしょうか。生後3ヵ月くらいから、人や犬同士にも慣れるよう社会性を身につけ、本格的な訓練は8ヶ月を過ぎてから行います。

奥村:一方、アニマルセラピストはもともと犬好きが多く、愛犬をセラピー犬にしたくてセラピストの勉強をするというケースも少なくありません。現在100人ほど在籍する中で、もちろん主婦の方もいらっしゃいますが、最近は何かしら本業を持ちながら、ボランティア的にアニマルセラピーの活動をされている方も増えています。福祉や教育、医療の現場で活躍してもらえるように、当協会ではアニマルセラピストの資格認定制度を設け、座学や実習を通して知識、経験を深めていただいています。

Q:人に寄り添う犬の活動というと、盲導犬や介助犬などが思い浮かびます。

風間:盲導犬、介助犬、聴導犬の3種類は我が国の身体障害者補助犬法で補助犬として認定されており、公共施設への同伴が認められていますがそれに比べ、セラピー犬は認知度が低いのが現状です。

セラピー犬については、ヨーロッパ、特に北欧においては社会に溶け込んでおり、図書館で子どもが落ち着いて読み聞かせできるような聞き役になってくれる読書犬や、刑務所内で犬の世話をして奉仕することの大切さを知り、再犯予防につなげるなどといった取り組みが進んでいます。当協会でも、日本におけるセラピー犬の地位確立を目指し、啓発に努めています。

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後編では、高齢者施設訪問の際の詳しい様子や利用者の方からの反響などについて伺っていきます。

(プロフィール)
NPO法人 日本アニマルセラピー協会
理事長
風間 詠子

1989年立教大学文学部卒業後、三菱商事株式会社に入社。1993年家族の転勤で赴いたトルコで、2005年より犬の素晴らしさに目覚める。4頭のゴールデンレトリーバーと過ごす傍ら、野犬の保護活動に従事。2011年の東日本大震災報道で動物介在活動を知る。同年、愛犬の1頭が亡くなったのを機に同協会と出会う。2012年、一般社団法人 人と犬の憩いの場所 理事長に就任するとともに、トルコと日本を行き来し、日本での「アニマルセラピー活動」普及をライフワークに。この間、トルコより野犬を5頭連れてきてセラピー犬にする。2018年帰国、同年より現職。

NPO法人 日本アニマルセラピー協会
ソーシャルプランナー
奥村 孝志

2008年、早稲田大学スポーツ科学部スポーツ医科学科卒業後、株式会社リクルートマネジメントソリューションズにて企業の採用支援に従事。株式会社リクルートキャリア人事部を経て、2017年退社後にミャンマーにて人材紹介業に従事。
同年帰国後、個人事業主として人事コンサルティングを開始(※現在は法人化)。同時期に愛猫、愛犬との出会いを機にアニマルセラピーに関心を持ち、NPO法人 日本アニマルセラピー協会にてアニマルセラピスト上級資格を取得。同協会のソーシャルプランナーとして、アニマルセラピーの普及を目的とした渉外活動やセラピープログラムの企画開発を担当。

NPO法人 日本アニマルセラピー協会
http://animal-t.or.jp/index.html

一般社団法人「人と犬との憩いの場所」
http://ikoi.me/

アニマルセラピスト説明会の日程
http://animal-t.or.jp/html/examination/animaltherapist-examination/bf.html

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