【後編】超高齢社会が抱える高齢者の心の問題を癒す一助に! 『高齢者施設への訪問など、1人でも多くの方にセラピー犬と触れ合う機会を〜NPO法人日本アニマルセラピー協会〜』

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NPO法人日本アニマルセラピー協会では、2007年の設立以来、訓練されたセラピー犬と接することで心身に癒しをもたらす「アニマルセラピー活動」を行っています。年500件近い訪問先の多くは高齢者施設だということです。
後編ではその様子をさらに伺っていくとともに、利用者の方からの反響や超高齢社会におけるアニマルセラピーの意義について、NPO法人日本アニマルセラピー協会の風間詠子理事長(写真右)とソーシャルプランナーの奥村孝志氏(写真左)に語っていただきます。

五感への心地よい刺激となるアニマルセラピー

Q:高齢者施設で行う「アニマルセラピー活動」で、印象的なエピソードはありますか。

奥村:認知症の方が犬と触れ合う中で、かつての記憶を鮮明に思い出される瞬間というのがあります。
ご家族がその場にいらっしゃると、「普段のお父さんと様子が違う」などと言われたりしますね。昔飼っていた犬の名前はもちろん、どんな犬だったかなどをどんどん話されたり、涙を流されることもあります。

訪問する私たちにはわからない微妙な変化、たとえば犬を触るために普段動かなかった手が少し動くなど、施設のスタッフの方に教えていただくこともあります。普段は無愛想になりがちな方でも、表情が変わって笑顔になり、思わず声がもれたりすることもありますね。

風間:五感を呼び覚ますものというのがありますね。前回の訪問のことも覚えていらして、同じ犬を可愛がったり、以前はちょっと怖がって手を出されなかったのが、少しずつ障壁がなくなっていくようなこともあり、毎回ドラマチックです。

また、高齢者施設でも寝たきりの方には、ゴールデンレトリーバーなどのおとなしい大型犬を、その方の手元に近づけてみたり、小型犬であれば顔の近くに寄せて、少しでも気配を感じていただくなど、コミュニケーションにも工夫を凝らしています。

セラピー犬を自宅に呼ぶなど、身近に活用を

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Q:そのほかの施設では、いかがでしょうか。

風間: 山口県に、当協会より5年前から、毎月訪問させていただいている国立病院の緩和ケア病棟があります。
許可を得てセラピー犬をベッドで一緒に添い寝させたりするのですが、これはご家族にも喜ばれますね。温かみのある良い思いができた、昔を思い出すことができたといったことでしょう。

また、高齢者施設でも、特定の方の個室に伺っています。
個人のご自宅にセラピー犬が訪問する訪問セラピーもさせていただいております。今後、高齢の方のお一人住まいも増えていくと思われますから、そうした個人宅への訪問機会も増えてくるでしょう。
セラピー犬は必ずしも明るく元気なだけではなく、静かにじっと寄り添うこともできます。ご利用者様のニーズや様子に合った犬を用意することも可能なので、ご相談いただければと思います。

奥村:ご高齢の方にとって動物と触れ合うことは癒しになりますが、ご自分で飼って世話をするのは大変です。
セラピー犬が訪問することで、孫が来るのを楽しみにするように、生きがいやQOL(生活の質)の向上につながると良いと思います。
犬と気持ちを通わせるために自分なりに考えたり、声をかけたりすることが、自立心や主体性を育むことにもつながります。また、犬と会話することで認知症の予防にも効果が期待できます。
ちょっとした散歩も運動になりますから、心身ともにプラスの効果が期待できるのではと思っています。

野犬からセラピー犬へ

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Q:アニマルセラピストとして喜びを感じられるのは、どういった点ですか。

風間:私は海外で20年以上暮らす中で、ライフワークとして野犬の保護活動をしておりまして、帰国する際に日本に連れてきた野犬も数頭います。
その子たちが訓練を受け、今では立派なセラピー犬としてたくさんの方を癒しているのを見ると喜びを感じます。

静岡県には当協会の運営する「犬の牧場 富士の里」という施設があります。セラピー犬も施設に出向いての触れ合いが積み重なっていくとストレスも溜まりますので、ローテーションを組んで活動していますが、時にはこの三島の大自然の中でリハビリや体力づくりをしてリフレッシュしています。そのように、犬達にとってもストレスのないベストの状態でセラピー活動を行っていけるように努めています。

また、一般の方たちにもっとセラピー犬と触れ合って知っていただけるよう、2012年に「人と犬との憩いの場所」を設立しました。
ゴールデンレトリーバーやホワイトスイスシェパード、バセットハウンドなど、6〜8頭ほどが常時おり、ご自宅のリビングルームでくつろぐような空間で癒しの時間を過ごしていただけます。すべてセラピー犬ですので、人が好きでフレンドリーです。お気に入りの犬を指名することもできます。
これは一例ですが、人と犬の共存を通じて、社会のために役立つ活動をしていきたいですね。

Q:超高齢社会において、アニマルセラピーはどのように役立つでしょうか。

奥村:健康寿命も延び、一人ひとりが働く年齢も上がってきています。生涯を通して常に何かを学び続けたり、社会とつながっていくことが望まれる社会といえるでしょう。
犬との触れ合いを通じて社会との繋がりを作って頂ければと思います。犬は一方的に人が癒されるための存在ではありません。犬についても理解を深め、相互に高め合える関係性が好ましいです。

風間:その架け橋になる組織として、私たちもあり続けたいですね。

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超高齢社会を迎え、高齢者の心の問題への関心が高まっています。
身体を病むことや衰えといった変化から、心に不安を抱く方も少なくないようです。アニマルセラピーの効果を数値化することは難しいかもしれませんが、高齢者にとって良い刺激になっていることは「アニマルセラピー活動」の内容を通じて知っていただけたかと思います。
アニマルセラピーが普及し、その理解が深まることは、高齢者をはじめ多くの人の心の問題を癒す一助になってくるでしょう。

(プロフィール)
NPO法人 日本アニマルセラピー協会
理事長
風間 詠子

1989年立教大学文学部卒業後、三菱商事株式会社に入社。1993年家族の転勤で赴いたトルコで、2005年より犬の素晴らしさに目覚める。4頭のゴールデンレトリーバーと過ごす傍ら、野犬の保護活動に従事。2011年の東日本大震災報道で動物介在活動を知る。同年、愛犬の1頭が亡くなったのを機に同協会と出会う。2012年、一般社団法人 人と犬の憩いの場所 理事長に就任するとともに、トルコと日本を行き来し、日本での「アニマルセラピー活動」普及をライフワークに。この間、トルコより野犬を5頭連れてきてセラピー犬にする。2018年帰国、同年より現職。

NPO法人 日本アニマルセラピー協会
ソーシャルプランナー
奥村 孝志

2008年、早稲田大学スポーツ科学部スポーツ医科学科卒業後、株式会社リクルートマネジメントソリューションズにて企業の採用支援に従事。株式会社リクルートキャリア人事部を経て、2017年退社後にミャンマーにて人材紹介業に従事。
同年帰国後、個人事業主として人事コンサルティングを開始(※現在は法人化)。同時期に愛猫、愛犬との出会いを機にアニマルセラピーに関心を持ち、NPO法人 日本アニマルセラピー協会にてアニマルセラピスト上級資格を取得。同協会のソーシャルプランナーとして、アニマルセラピーの普及を目的とした渉外活動やセラピープログラムの企画開発を担当。

NPO法人 日本アニマルセラピー協会
http://animal-t.or.jp/index.html

一般社団法人「人と犬との憩いの場所」
http://ikoi.me/

アニマルセラピスト説明会の日程
http://animal-t.or.jp/html/examination/animaltherapist-examination/bf.html

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