【前編】学童保育の現状と未来。「子育てから江戸川区の未来を考えるネットワーク」とは? 『一人ひとりが声を上げ続けていくことで保護者の声が届く 〜子育てから江戸川区のみらいを考えるネットワーク(えどみらこ)〜』

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東京23区の人口比率に対する年少人口(15歳未満)の割合は、全体的に見て全国平均(12.2%)を下回っています[出典元:総務省統計局 人口推計(2018年(平成30年)10月1日現在)]。このような状況において江戸川区の年少人口の割合は全国平均を上回った状態が続いています。

それでも、江戸川区の年少人口の全体に占める比率は下がる傾向にあり、抜本的な対策を行わないことには減少が止まらないといわれています。そして、このような年少人口比率の減少は江戸川区だけの問題にとどまりません。

「子育てがしやすい」「子育てに向いている」と言われている江戸川区で、子育てから江戸川区の未来を考える活動を展開している市民団体「子育てから江戸川区のみらいを考えるネットワーク(略称:えどみらこ)」のメンバー、島宗幸子氏に、その活動内容や現代における「子育て」の実情などについてお聞きします。

自らの子育てにおける経験から保護者が声を上げていく市民団体を設立

Q:「子育てから江戸川区のみらいを考えるネットワーク(略称:えどみらこ)」(以下、えどみらこ)とはどのような団体でしょうか。

A:2018年3月に活動をスタートした待機児童問題や学童保育問題に関心を持つ保護者が集まって江戸川区で設立した市民団体です。
もともと私は、全国規模の市民団体「みらい子育て全国ネットワーク」に参画し、活動をしていました。
「えどみらこ」の設立当時には、私の2人の子どもは小学校(4年生)と保育園の5歳児クラスで、上の子どもは江戸川区が実施している学童保育事業「すくすくスクール」内の「学童クラブ」に通っていたのです。そこで実際に体験して感じた、「預かり時間を長くしてほしい」「おやつを提供してほしい」といった改善要望点を保育園児だけを持つ周囲の保護者の方に話したところ、皆さん状況を詳しく把握していませんでした。そこで、「こんな重要なことなのに、行政に対して声を上げないと変わっていかないの?」と考えたのが「えどみらこ」設立のきっかけです。

Q:ご自身が体験した切実な思いから「えどみらこ」を設立されたわけですね。

A:学童保育が適用される児童福祉法では、1施設当たりの定員を40人までと規定しています。しかし江戸川区で学童保育や放課後児童クラブに当たる「すくすくスクール」及び「学童クラブ」は、2015年3月から児童福祉法から外れて区独自の全児童対象事業となりました。
これによって定員制限や年齢制限がなくなり、学童保育を希望する保護者の児童であれば誰でも入れる「全入」となったのです。そのため、江戸川区における学童保育の待機児童がゼロとなりました。これは大変素晴らしいことだと思いますが、一方で児童が誰でも入れる「全入」にしたことで弊害も生まれています。

学童保育の「待機児童ゼロ」を実現させた江戸川区の「すくすくスクール」

えどみらこ
Q:弊害とはどのようなことでしょうか。

A:全児童対象事業にしたことで、「江戸川区の学童保育の待機児童がゼロになった」というメリットが生まれたものの、利用している保護者や児童からすると問題も発生しているのです。

例えば、「全入」にしたことで、学童保育に使える教室の人口が過密になるという問題が生じています。特に校庭が使えなくなる雨天時や「すくすくスクール」で行事が開催されるような時には机と椅子が足りなくなることもあります。
また、指導員の目が全ての児童に対して細かく行き届かない場合も出てきます。このような点の改善を求めて「えどみらこ」としては行政に働きかけているところです。

Q:ところで、「すくすくスクール」と「学童クラブ」の違いはなんでしょう。

A:「すくすくスクール」とは、小学校の放課後や学校休業日に、校庭や体育館、教室などの施設を利用して、児童が自由に活動できるようにする事業のことです。この「すくすくスクール」に無料で登録し任意保険(年間500円)に加入さえすれば、自由に利用できる仕組みです。
「学童クラブ」とは、保護者が働いており放課後や学校休業日に保護者が家を留守にする家庭の児童が対象となっています。月額4000円が必要となりますが、学校と同じように出欠をとって所在確認を行います。保護者から欠席の連絡がなく児童が参加していない時は、必要に応じて勤務先などに確認の連絡が入ります。

理想の子育てとは、親も、子どもも、自分の選択肢を邪魔されないこと

えどみらこ
Q:島宗さんが考える、小学生の理想の子育てについて聞かせていただけますか。

A:「親も、子どもも、自分の選択肢を社会環境などに邪魔されることなく、子育てができる世の中であること」、これが理想だと考えています。

その点で言いますと、江戸川区には良いところがたくさんありますので、これまで長く住んでいますし、これからも住み続けたいと考えています。
しかし、壁にぶち当たるのが、産休や育休を経て仕事に復帰しようとした時です。それが待機児童問題です。また、もっと深刻なのが、子どもたちが小学校に入学するときの「小1の壁」です。江戸川区は子育てに向いている地域だと思いますが、それは子育てを中心の生活にしている場合。フルタイムで働きながら「子育てと仕事」とを両立するような生活を送っていくには、まだまだ不十分な環境だと感じています。

後編では、学童保育の現状や江戸川区のそのほかの子育て支援事業、そして「えどみらこ」が考える学童保育の理想などについてお聞きします。

(プロフィール)
市民団体 子育てから江戸川区のみらいを考えるネットワーク(えどみらこ)
メンバー
島宗 幸子(しまむね・さちこ)

2016年から、保育園にお世話になった保護者たちでつくる市民団体「みらい子育て全国ネットワーク(みらこ)」に参画。この団体では、子育てをしながら働くことの難しさを改善していく活動を行う。その後、江戸川区内で同じように子育てをしながら働く仲間とつながり、2018年3月に市民団体「子育てから江戸川区のみらいを考えるネットワーク(えどみらこ)」を立ち上げ、代表として活動を続けていくようになる。現在、小学校6年生と小学校2年生の子どもを育てながら、フルタイムでの仕事を続けている。

市民団体 子育てから江戸川区のみらいを考えるネットワーク(えどみらこ)
メンバー
細野 笑実(ほその・えみ)

保育園の「待機児童問題を考える会」で島宗氏と知り合う。周囲の保護者たちが「保育園に入れないなら、入るためにはどうすればいいのか?」ということまで考えが至らず、声を上げない保護者側にも問題があるのではないかと考える。そこで「子育てから江戸川区のみらいを考えるネットワーク(えどみらこ)」結成当時からのメンバーとして参画し活動を行う。現在、時短勤務をしながら小学校1年生と保育園の2歳児クラスに通う二人の子どもを育てている。

子育てから江戸川区のみらいを考えるネットワーク(えどみらこ)
https://twitter.com/edomiraco

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