【後編】SDGs目標11達成を目指し高齢者が健康でアクティブな生活を送れる「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」プロジェクトとは!『移住した高齢者が活躍する「ホシノマチ団地プロジェクト」のシニアタウンとしての成果〜株式会社みんなのまちづくり〜』

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長野県佐久市で進められている「ホシノマチ団地プロジェクト」は、移住する高齢者が活躍できる環境づくりが行われ、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の「目標11 住み続けられるまちづくり」に合致した取り組みでもあります。

後編では、株式会社みんなのまちづくり 代表取締役の伊藤洋平氏に、「ホシノマチ団地プロジェクト」の移住者が地域に溶け込んで活躍するための取り組みや、移住希望者からの反響などを中心に伺います。

移住した高齢者が活躍できる土壌をつくる

Q:移住者が活躍するために、どのような取り組みを行うことを予定していますか。

A:入居者の方全員に身につけていただく必須スキルを二つ設けています。一つめはホシノマチ団地のスタッフになれる資格です。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の常駐スタッフには資格要件があります。サ高住のスタッフになれる資格として、全員に介護職員初任者研修を取得していただきます。
二つ目はIT関係の最低限のスキルです。例えば、インバウンドで海外からの旅行者の方と50歳以上のシニアの登録者をマッチングして、味噌汁をふるまう、折り紙を教えるといった日本の文化を提供するサービスがあります。そうした、ネット上のマッチングサービスを利用できる程度のITスキルを身につけていただきます。

Q:移住者の方で農業をやりたい方がいた場合、農地を借りることはできますか。

A:佐久市では荒廃農地にならないように、お金を払って専門業者に野菜をつくってもらっている農地があります。「無料でもよいから貸したい」という農地が多く、そういった農地をご紹介できますので、農地は借りやすい環境です。

移住者とつくっていく「ホシノマチ団地」のカタチ

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Q:ホシノマチ団地への入居希望者からの問い合わせなど、反響はいかがでしょうか。

A:広告を見た方から問い合わせが入っています。また、昨年5月〜12月まで移住セミナー「佐久市生涯活躍のまちをつくる会」を開催していましたので、参加者の方には情報をお送りしています。セミナー参加者の方は移住に前向きに検討いただいています。

佐久市に魅力を感じていただいている方が多いですね。佐久平に位置しているため平坦な地形で視界が開けていること、標高700mくらいのため、空気が澄んでいて湿度が低く、夏は熱帯夜がありません。冬はマイナス10度になりますが、雪はほとんど降らないので雪かきの必要がないのも魅力です。それから、長野県でトップクラスの規模の佐久総合病院があるため、医療の面でも安心とおっしゃる方が多いですね。

Q:「ホシノマチ団地プロジェクト」で他に特徴的な取り組みはありますか。

A:2018年3月にプロポーザルで提案が採択されていますが、5月から「佐久市生涯活躍のまちをつくる会」で移住希望者の方などから意見を聞いてつくり上げています。例えば、「食事はスタッフがつくって提供しましょうか」と提案していたところ、キッチンが充実しているため、「自炊するからいい」という意見が多数を占めました。一方で、週1回くらい集まって食事ができるように「shoku_ba」と名付けた集会所を設けました。「shoku_ba」の「shoku」には「食」と「職」の意味があります。「集会所行ってくるよ」と言うよりも、退職した後、「shoku_ba行ってくるよ」と言えたほうが仕事をしている感覚でよいのではないかとの想いからです。

団地内に畑をつくることも提案しましたが、「隣の人のトマトが盗られている」「あの人の畑はすごく育っている」といったことで人間関係がこじれるより、それぞれ外に畑を借りるほうがよいということになりました。こうしたセミナーを通じてできたコミュニティが、そのままホシノマチ団地に引き継がれるイメージです。

Q:移住する方から地域になじめるか不安という声はありませんか。

A:移住希望者からは「地域になじめるか不安」、地域の住民からは「移住者が地域になじめるか不安」という声がありました。そこで、常駐するスタッフが仲介して、間をとりもつことをお話しています。ホシノマチ団地は下越団地の24戸の住戸のうちの16戸で、残り8戸のうち、1戸は市が運営する体験宿泊できる住戸、残り7戸は一般の住戸です。団地としてはもう1棟32戸あり、下越団地の自治会にも加入していただくので団地でのつながりもできると思います。

高齢者が地域で活躍する「生涯活躍のまち」を広げていく

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Q:「ホシノマチ団地プロジェクト」はシニアタウンとして、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の「目標11 住み続けられるまちづくり」に合致しているかと思います。「ホシノマチ団地プロジェクト」で目指していることを教えてください。

A:高齢者が住み続けられる街として、何歳まででも働き続けられる環境をつくっていくことも、今回のプロジェクトの肝だと考えています。できれば、起業をする人たちをつくっていきたいと思っています。単純に会社をつくるだけではなく納税をして、社会を引っ張って行く存在になる人が生まれていくとよいですね。

仕事をするには、ITによるマッチングサービスを利用する、農業をやるといった方法のほか、シルバー人材センターを利用するという方法もあります。佐久市の場合、シルバー人材センターで農業や庭の草むしり、介護など幅広い仕事があります。社会から必要とされることが、健康長寿にもつながるのではないでしょうか。

Q:日本版CCRCに関連して予定されている事業など、今後の展望をお聞かせください。

A:長野県佐久市とともに生涯活躍のまちとして内閣府が認定した山梨県都留市の生涯活躍のまち推進協会の事務局を委託されています。都留市ではマネンジメント側として入り、9月にサ高住がオープンしました。生涯活躍のまちの地域再生計画を提出した100の自治体のうち、実際にオープンしているのは都留市と秩父市、そして佐久市など限られているのが実情です。今後は事業者としての立場だけではなく、マネンジメントを行い、生涯活躍のまちの実現に寄与していきたいと考えています。

ホシノマチ団地は2019年の募集住戸は4戸ですが、2020年に4戸、2021年に8戸の募集を予定しており、プロジェクトしては今後も進行していきます。

移住した高齢者が地域に溶け込んで働き続けられる環境の構築を目指す「ホシノマチ団地プロジェクト」は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の「目標11 住み続けられるまちづくり」にも合致し、新たなシニアタウンのあり方の提案ともいえるでしょう。

(プロフィール)
株式会社みんなのまちづくり
代表取締役
伊藤洋平

東京大学大学院工学研究科修了。2007年多摩市役所入庁。2012年中国留学をきっかけに退職。帰国後、高齢者向け住宅運営会社等を経て、2016年株式会社みんなのまちづくりを創業。公益社団法人日本中国友好協会理事。

株式会社みんなのまちづくり
https://minmachi.co.jp/

ホシノマチ団地
https://hoshinomachi.jp/wp/

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