銀行の一部が保育所やカフェに!?待機児童問題解消や地域活性化に店舗スペースを有効活用

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銀行が空きスペースを活用して保育所やカフェを併設し、待機児童の解消や地域活性化に取り組む事例が増えています。
銀行は銀行法により、異業種に携わることは規制されています。それではなぜ保育所やカフェを併設するようになったのでしょうか。

銀行が待機児童の解消や地域活性化のために空きスペースを貸し出すように

昨今、銀行が地域活性化のために空きスペースを貸し出すケースがあります。例えば、地方銀行の支店内にカフェがオープンした事例が挙げられ、大学生限定の就活カフェをベンチャー企業が運営し、同行も投資ファンドとともに出資をしています。

この事業のビジネスモデルは、店舗運営は企業や自治体スポンサーが行い、店内で飲食したり企業情報やセミナーの機会を得たりする学生とスポンサーとのコミュニケーション機会を提供するというものです。つまりこのカフェ併設は投資活動であるとともに、キャリア支援サービスの開発資金を投じることで、地域の成長産業を支援し地域活性化につながるとしています。

このように銀行が店舗内を他業種に貸し出すケースは他にもあり、東京都内では都市銀行店舗内に保育園が開園した例があります。

この取り組みは銀行が保育事業を展開する企業に店舗の一部を賃貸し、自社の従業員の子どもや地域住民の子どもを受け入れるというものです。これだけを見ると、待機児童の解消と地域活性化にはつながりますが、銀行が保有する不動産を賃貸するという点で銀行法に定められている「その他の付随業務」には該当しないように考えられます。

しかし銀行は銀行法12条により、「その他の付随業務」以外の他業を禁止されています。ではなぜ、このような銀行の空きスペースを他業種に貸し出す動きが増えてきたのでしょうか。

銀行の空きスペースを貸し出すようになった理由

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地域活性化や待機児童の解消を目的に、銀行が店舗内の空きスペースをカフェや保育園に貸し出す事例が出てきた理由は、2018年9月12日付の一般社団法人全国地方銀行協会が内閣府に提出した「2018年度の規制改革要望」に記されています。

そこには規制改革の要望の1つとして、「銀行の保有不動産の賃貸の柔軟化」というものがあります。これは2017年度より継続して要望しているものですが、銀行が保有する不動産を地域の事業者などに自由に賃貸できるよう、監督指針を見直すようにという内容です。そしてその目的は、顧客利便性の向上と地方創生に資すること、つまり地域活性化であるとしています。

この要望の背景として、銀行がIT技術の活用などで業務効率化を進め、保有不動産の余剰スペースが増加していることを挙げています。例えば店舗の統廃合などにより、使用しなくなった土地や建物を賃貸するといったケースが考えられます。

2018年8月の時点では、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」によって余剰スペースの活用が認められている「その他の付随業務」に該当するかどうかが細かく規定されています。具体的には銀行法第10条第1項と第2項で定めている業務の範囲にあること、その規模が本業よりも大きくならないこと、さらに銀行業務で生じた余剰能力を活用するものであることといった内容です。

自社の従業員のために店舗内に保育所を設置するのはよいのですが、その一部を従業員以外の地域住民に解放することは「その他の付随業務」の範囲とは見なされません。もちろん、この保育所を運営する企業に自社保有不動産である空きスペースを「賃貸すること」も付随業務と見なされるかどうかは不明です。その規制改革の要望を受けて、政府は「その他の付随業務」の範囲を広げる方向で、規制緩和につながる改正を検討しています。

待機児童の解消につながる保育所併設の理由

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規制改革の要望はまだ正式な規制緩和につながっていませんが、2017年6月9日に閣議決定された「規制改革実施計画」では、金融機関が設置する保育所でグループ企業の役職員以外の子どもを受け入れることが可能となりました。

この規制緩和を受けて銀行は企業主導型保育事業として、店舗の一部に保育所を併設するようになったのです。自社の従業員以外に地域住民が利用できるようにすることで、待機児童の解消や地域活性化にも貢献すると考えられます。

このような企業主導型保育事業は、待機児童問題解消を目的に内閣府が2016年4月にスタートさせたものです。企業主導型保育事業は認定外保育施設になります。しかし、この事業に認定されれば認定保育施設と同じように整備費および運営費として助成金も受け取れます。

また、制度を利用する企業の従業員の子どもを受け入れる従業員枠のほかに、地域の住民などの子どもを受け入れる地域枠を総定員の50%以内で設定できます。ただし、定めた要件を満たす場合には地域枠を超えた児童の受け入れも可能となっています。待機児童の解消と地域活性化にもつながるとあって、今後も銀行による企業主導型保育事業は増えていくと考えられます。また、空きスペースを利用して集客や地域活性化のためにカフェを併設するケースも増えることでしょう。

銀行の業務効率化によって生じた空きスペースを活用し、待機児童の解消や地域活性化につながる活動は今後も広がっていくと考えられます。銀行法によって規制されている「その他の付随業務」の解釈が広がれば、さらに多様な業種によるスペース活用が実現して地域活性化につながることが期待できます。

レオパレス21も運営する介護施設内に企業内保育所を開設するなど、子育て支援に対して積極的に取り組んでいます。

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