少子高齢化対策の希望の星は「パワーアシストスーツ」?市場が拡大!高齢者の補助や介護など労働力不足の課題解決へ

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介護者は腰痛の悩みを抱えやすいですが、慢性的になると身体に大きな負担がかかるため、抜本的な対策が求められます。
厚生労働省は介護負担の軽減を目的に、「介護ロボットの普及拠点事業」を創設。介護ロボットの導入に対して補助金を交付するなど、開発・普及の促進に力を入れています。
中でも腰痛を軽減する「パワーアシストスーツ」は、「高齢者の補助や介護など労働力不足の課題解決の救世主」と注目されています。

介護業界における腰痛の現状

パワーアシストスーツ
厚生労働省は1994年に「職場における腰痛予防対策指針」を提示し、腰痛予防への啓発・指導を行っていますが、利用者を抱きかかえて移動させたり、中腰での作業したりすることが多い介護の業務で、腰痛を軽減させるのは難題と言えます。
日本介護学会が2013年に発表した「介護福祉士の腰痛に関する研究」によると、介護職員の腰痛有訴率は57.5%〜78.9%と高い比率を示しており、依然として深刻な問題であることが浮き彫りになりました。

腰の負担を軽減する「パワーアシストスーツ」

「腰への負担が軽減できる」と、介護業界などが注目しているのが「パワーアシストスーツ」です。静岡県内で介護事業所を展開している企業から相談を受けた東京理科大学の小林宏教授が2001年に開発。2013年に東京理科大学発のベンチャー企業「株式会社イノフィス」を設立し、「マッスルスーツ」の商品名で販売を開始しました。

マッスルスーツは、人や重い物を持ち上げるときの中腰姿勢を保つときに腰の補助を行う装置です。背中のフレームと腿のフレームを体にベルトで固定し、ゴムチューブへの圧縮空気注入に伴うゴムチューブ膨張がナイロンメッシュにより長さ方向の収縮を伴う強い引張力に変換されます。使用している人工筋肉は、通常時直径1.5インチ130g、5気圧で最大200kgfの引張力を発生します。軽量かつ簡易な構造で柔らかく、タイプによっては水中でも使用可能なため、入浴時の移乗や移動などでも安全に使用できます。

増加が見込まれるパワーアシストスーツ需要

パワーアシストスーツ
先駆けであるイノフィスの他、数社が販売するなど、近年はパワーアシストスーツの市場が活発化しています。
厚生労働省による2016年度の介護ロボット導入を助成する支援事業の実施により、パワーアシストスーツを購入する事業所が増加。その反動を受けて2017年度の需要は落ち込んだものの、2018年に各社から低価格な商品が販売されるなど、今後は普及することが予測されています。

株式会社日本能率協会総合研究所が提供するMDB Digital Searchは、日本国内のパワーアシストスーツ市場を調査し、市場規模を推計しました。同サイトでは2017年・2018年に2000台で推移しているパワーアシストスーツの市場は2019年に3000台近くまで増加し、超高齢社会を迎える直前の2023年には8000台に達すると予測しています。

家電並みの価格を実現

イノフィスは2019年11月の販売に先駆けて、新製品「マッスルスーツEvery」を9月24日にプレス公開。東京理科大学並びにリコーグループと協力関係を組むことで、2018年に約50万円で販売を開始した普及型モデルを大きく下回る10万円台でリリースすると発表しました。

装着体験会では「マッスルスーツEdgeと比較すると、Everyのほうが装着感したときのホールド感が強く、しっかり保護されている感じがする」、「20?の物を何度持ち上げても腰に負担がかからない」など、高い評価を受けています。
高齢者にも負担がかからないよう軽量化も実現しています。今後も老々介護が増加することから、介護事業所だけでなく在宅での需要も期待されています。

スポーツ界でも活躍

パワーアシストスーツは、介護や作業現場だけではなく、様々なシーンで活用されています。世界パラ・パワーリフティング(WPPO)競技大会では、競技補助員がパワーアシストスーツを着用し、バーのおもりの着脱など作業負担を軽減しています。WPPOでは、パワーアシストスーツを東京2020パラリンピックで採用することを決定し、大手メーカーとパートナーシップ契約を締結しました。

厚生労働省はパワーアシストスーツなどの「介護支援ロボット」を公的保険制度の適用対象にするかどうかを検討しており、2020年度に効果を見極めて2021年度の介護報酬改定で対象に加えるかを判断する予定です。介護作業の負担軽減や効率化の効果が認められると、2021年度の介護報酬改定に反映されるため、ますます需要は増えていくことでしょう。

レオパレス21が運営する高齢者施設「あずみ苑」でも、いくつかの施設でパワーアシストスーツを導入し、介護スタッフの負担軽減に役立っています。

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