政府も推奨する「リカレント教育」とは?社会人の学び直しで生涯活躍の時代へ

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リカレント教育
政府では社会人の学び直しといわれる「リカレント教育」を推奨しています。
AIが普及し働き方も多様化する中で、社会人になっても学び続ける姿勢が求められるのはなぜでしょうか。
そもそもリカレント教育とは何か、リカレント教育が必要とされる背景などについて解説していきます。

政府が推奨するリカレント教育とは何か

リカレント教育
リカレント教育とは、就職してからも教育と労働、休暇などを交互に行うという考え方です。経済協力開発機構(OECD)が1970年に採用し、1973年には「リカレント教育 −生涯学習のための戦略−」 報告書が公表されました。

文部科学省による定義では「「職業上必要な知識・技術」を修得するために、フルタイムの就学と、フルタイムの就職を繰り返すこと」としています。これは具体的に、大学などの教育機関で業務に必要となる技術などを学び、その後に就職することを意味します。さらに別の技術が必要になれば再び学習し、技術の習得をして仕事に生かすことになります。

これを繰り返すのがリカレント教育です。しかし日本では終身雇用制度が一般的であったことから、このようなリカレント教育はほとんど行われていませんでした。その代わりに、企業内で業務遂行に必要となる技能などを学ぶというのが一般的でした。

なぜリカレント教育が必要なのか

リカレント教育とは社会人が必要に応じて、学び直しをすることを意味します。しかも就業しながら隙間時間に学ぶという性質のものではなく、一度仕事を離れて一定期間は学びのための時間を確保する必要があるということにとなります。

しかし、これは現実的には難しいものと言えるでしょう。特に人手不足が続く企業において、一定期間は休業をとって学びの時間を確保するというのは難しいものです。それではなぜこのように実現が難しいリカレント教育に政府は注目し、その普及を推進しようとするのでしょうか。

文部科学省は2018年7月31日付で発表した「リカレント教育の拡充に向けて」の中で、リカレント教育が必要な理由を説明しています。そこには、経済・社会の急速な変化に応じて職場や働き方が変わること、そこで新たに必要となる知識・能力・技術を社会に出たあとも学び続けることが必要になると記されています。

これまでは業務遂行で必要な能力は、企業内教育によって培われてきました。しかし企業による教育だけでは、予測不能な雇用変化への対応は難しいと考えられています。これは、企業における従業員への教育訓練費用が減少していることも背景にあります。

さらにAIの普及により業務内容が大きく変わり、学び直しや職業訓練が必要になる可能性が高いと考える20代や30代が多いことも、リカレント教育の必要性が問われる理由と言えます。これは総務省が発表した「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」におけるデータに見られます。

リカレント教育はどのように行うのか

リカレント教育
リカレント教育が必要な理由はわかりましたが、では具体的にどのようにして学べばよいのでしょうか。

リカレント教育は教育機関に戻って学習することを意味します。具体的には大学などの高等教育機関で学びます。そのためには、社会人入試や社会人を対象とした編入、あるいは夜間大学や専門職大学院などを利用することになります。

しかし個人でそのような学びを希望しても、環境が整わなければリカレント教育の普及は難しいでしょう。現実としては会社が休業を認めて修学できるというケースが少ないこと、かといって隙間時間を利用しようとしても勤務時間が長く学びのための時間確保が困難といった課題があります。

さらに個人が必要とするカリキュラムや教育方法が提供されていなかったり、あるいは受講料の負担が大きいために経済的な理由で断念したりするケースも考えられます。

このようなリカレント教育における課題を解決するために、政府がどのように取り組んでいるのかをみていきましょう。

リカレント教育を普及するための政府の取り組み

まずリカレント教育のための受講時間が確保できないという課題に対して、履修制度の見直しが検討されています。

現状では1年程度で履修できる履修証明プログラムは、基礎から応用まで体系的に学べる学位課程とのつながりはありません。
さらに120時間未満で学習できる短期プログラムは、履修証明プログラムの位置づけがないものとなっています。これら3つのプログラムは独立したものとなり、関連性がないということです。

そこで、履修証明プログラムの学位を学位課程の単位の一部とすることや、短期プログラムを履修証明プログラムの一部にすることなどが考えられています。学位課程と履修証明プログラム、短期プログラムを独立したものではなく、それぞれがつながるものとすることにより、少しずつ時間をとって学ぶことで体系化されたプログラムを学べるようになります。

また、受講料が負担と考える人が多いことを受けて、教育訓練給付も行っています。厚生労働大臣が指定する教育訓練を受けた場合には、その費用の一部を教育訓練給付として雇用保険より支給されます。

雇用の安定と就職の促進につながる教育訓練を受講した場合には一般教育訓練給付金が、中長期キャリア形成につながる教育訓練を受講した場合には専門実践教育訓練給付金が貰えます。

このように、労働者が自ら継続的に学ぶ機会を得られるように、リカレント教育にかかわる環境の整備が行われています。

世の中が急速に変化していく中で、仕事で必要とされるスキルも変わっていきます。そのような状況で求められる成果を生み出すためには、常に学ぶことが求められます。今後ますます、リカレント教育について理解し、具体的に学ぶ場を求めるという姿勢が必要となっていくでしょう。

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