【後編】「介護×IT」で少子高齢化時代の介護を切り開く!介護業界のIT導入の課題への挑戦『介護事業者をサポートする「ほむさぽ」とは〜株式会社ビーブリッド〜』

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介護業界では人材不足という問題が顕在化しています。
前編では介護業界へのIT導入の必要性や課題などについてお聞きしました。
後編では引き続き、株式会社ビーブリッド 代表取締役の竹下康平氏に、介護事業者に対するヘルプデスクの役割を果たす「ほむさぽ」のサービス内容や反響、今後の展開などについて取材しました。

介護事業者からのITに関する問い合わせに対応

Q:なぜ、介護事業者向けにITのヘルプデスクサービスなどを行う「ほむさぽ」を開設されたのでしょうか。

A:介護業界は事務処理の増加や人材難であることなどから、ITを駆使しなければ対処できないほど、多忙な状況となっています。昨今ではスマートフォンやタブレットで介護記録を取ったり、見守りセンサーやバイタルチェックを自動化するシステムなどの導入も進んでいます。また、最近はテレビなど様々な電化製品がインターネットとつながっていますので、レクリエーションの時間に、テレビで動画配信サービスを流す介護事業者もあります。そのような事業者では、例えば、童謡の動画を見ながら一緒に歌うといったことも行われています。

こうした現状から、介護職員は介護の専門職でITは苦手な人が多いにも関わらず、そのITが介護の様々なシーンで必須になってきているのです。しかし、一般的に考えても、インターネットとつながるテレビを購入した後、動画配信サービスをすぐに見ることのできる人はどれだけいるでしょうか。例えば、動画配信サービスの番組を選んで流す担当者が風邪で休んでしまった時、代わりの人がやろうとしてもわからないといったことが起こり得ます。

また、メーカーなどのサポート窓口に電話で問い合わせをすると、「ブラウザーを開いてください」「設定からオプションを開いてください」といったような指示をされますが、不慣れな人にとって説明を理解するのは難しいことです。さらに、サポート窓口につながるまでの時間や担当者に替わるまで保留音が流れる時間も長く、30分、40分かかることが少なくありません。しかし、介護職員は現場の仕事があるため、電話口に張り付いている時間はなく、このようなことが高頻度で発生すると、残業の増加や入居者の対応に影響を及ぼす原因となることも考えられます。

こうした介護事業者のITに関する悩みをサポートするために始めたサービスが「ほむさぽ」です。

Q:「ほむさぽ」のサービス内容について教えてください。

A:「ほむさぽ」では、介護事業者とITのサポート契約を結び、パソコンやソフト、IoT機器、インターネット回線、ネットワークシステムなど、小さなものから大きなものまで、ITに関することなら何でもワンストップでヘルプデスクとして対応するサービスを提供しています。

現在、約200事業所と契約しています。中には聞いたことがないソフトや発売されたばかりの商品など、弊社でも未知の問い合わせもありますが、同じ知らない状態であれば、専門業者への問い合わせを介護事業者が直接問い合わせをするよりも、弊社で代行した方がスムーズです。

また、一般的なサポートサービスは自社製品限定ということが大半です。しかし、現実に発生するトラブルはというと、例えば、インターネットに接続している機器が正常に作動しないといったトラブルの場合、製品そのものに問題があるケースだけではなく、ネットの接続状況に問題があるケースがあります。この場合、どこに問い合わせたらよいかわからなかったり、問い合わせをしてもたらいまわしの状態となったり、余計な時間を使うことになります。そんな時、「ほむさぽ」のヘルプデスクに電話をかければ、調査も含めワンストップで全て済むことも利点かと思います。

「介護×IT」に対応できる人材の育成が今後の課題

株式会社ビーブリッド
Q:「ほむさぽ」を利用した事業者の方からの反響はいかがでしょうか。

A:介護事業者のスタッフは、どこも多忙を極めているので、「ほむさぽ」のヘルプデスクを利用したことで、ITが上手く使えないことによる日々の無駄がほぼなくなったという声をいただいています。また、「ほむさぽ」ではコンサルティングサービスも行っていますが、IT導入を検討するにも、各製品やサービスの品質・価格の妥当性が判断できず、「ほむさぽ」導入前には、事業所の規模や必要とする機能に見合っていないシステムを導入してしまっている事業者が散見されました。弊社が介在することにより、中立の立場でマーケットにある最適なソフトやサービスを選定できるので、そもそもIT選定の労力自体を省力化しつつ、適切な製品導入やコスト的にも効果があると評価をいただいています。

Q:「ほむさぽ」のサービスを提供するうえで、課題だと感じられている点はありますか。

A:「介護IT専門学校」というものはないので、弊社内に必要な人材を育てていかなければならないことが課題ですね。通常、介護の養成学校でITの授業はなく、私が講師を務めている2校を除くと、ITを教えている介護の専門学校はほとんどないのではないでしょうか。
わずかではありますが、最近はITやロボットありきの介護が検討されており、例えば、社会福祉法人善光会が運営する「スマート介護士」資格試験も、ITの知識を持った介護士のキャリア形成を図るうえで、素晴らしい試みだと思います。

とはいえ、現時点で弊社のコンセプトに合った人材はなかなか転職市場におりません。そこで、弊社では介護の業務知識を持っていることに重きを置いて採用を行い、現在は「ほむさぽ」スタッフの半数以上をもともと介護・福祉の現場で働いていた人材が占めるようになりました。ITの知識をもともと持っていなくとも、育成を図り活躍しています。「ほむさぽ」は大変ニーズの高いサービスと定評をいただいておりますが、人材育成が追いつかないとサービスの品質を保てない可能性があるため、こちらからは営業せず、新規のご依頼は介護業界からの紹介がほとんどとなっています。

「ほむさぽ」を地方へ拡大

株式会社ビーブリッド
Q:「ほむさぽ」の今後の展開、あるいは介護事業者に向けた展開を予定しているサービスなど、今後の展望を教えてください。

A:弊社は東京で事業を展開していますが、地方にも展開していくことが必要だと感じています。既にパートナー企業が、「ほむさぽ宮城」「ほむさぽ福岡」といった形で地方に展開しており、今後、「ほむさぽ北九州」も始動する予定です。ヘルプデスクサービスは電話だけでなく、駆け付けによるフェイス・トゥ・フェイスの対応も必要になるため、地域のIT事業者が地域の介護事業者をサポートしていく仕組みをつくっていきたいです。しかし、山間部といった過疎地域など、IT事業者がいないエリアもあるため、将来的にはオンラインでヘルプデスクを展開していくことも考えています。

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介護業界では今後ますますIT化できる業務を選別し、ITの導入を進めていくことで現場負担の軽減を図ることが不可欠になっていくと考えます。ITを使いこなし、想定される業務効率化の効果を得るためには、こうしたサポートの仕組みがさらに必要とされていくでしょう。

<プロフィール>
株式会社ビーブリッド
代表取締役
竹下康平氏

プログラマー、SE等を経て、2007年介護事業等を行う企業のIT戦略立案等に関与。その後、2010年に株式会社ビーブリッドを創業。創業直後より介護事業者向け総合サービス『ほむさぽ』を中心に、介護業界のIT利活用と普及のためのサポート・相談事業を関東、福岡、宮城で展開中。現在、日本福祉教育専門学校、北九州市立大学非常勤講師、株式会社ウェルモ等、介護ITメーカー数社の顧問を兼任。

株式会社ビーブリッド
https://www.bibrid.co.jp

ほむさぽ
https://homesapo.com

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