経済産業省がCO2削減に向けて推進する「カーボンリサイクル」とは?

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カーボンリサイクル
12月2日からスペインのマドリードで「第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)」が開催されました。温室効果ガスの排出削減目標などが議論されましたが、日本はまだ石炭火力発電からの脱却を示せてはいません。しかし脱炭素に加えて、CO2を再利用する形で排出削減につなげる「カーボンリサイクル」という技術をアピールしています。

今回はこのカーボンリサイクルについて、詳しく説明します。

カーボンリサイクルとは何か

カーボンリサイクルとは、経済産業省が推進するCO2 (二酸化炭素)を炭素資源と捉えて再利用するというものです。

地球温暖化を防止するためにはCO2の排出量を削減することが世界的な課題とされていますが、日本のCO2排出量は経済協力開発機構(OECD)の平均よりも多い水準となっています。これはエネルギーの供給側が火力発電に頼っていることが理由とされています。

国民ひとりあたりのCO2排出量は2016年時点で日本は9.0トンと、OECD35カ国中27位となっています。OECDの平均は7.6トンですが、たとえば英国は5.7トンでフランスは4.4トンなどとなっています。

このようにCO2排出量の削減が進まないなかで、排出したCO2を活用する形で温暖化対策に臨もうというのが、カーボンリサイクルです。

日本ではなぜ火力発電を続けるのか

カーボンリサイクル
地球温暖化対策のために、世界では石炭火力発電の削減や廃止が進んでいます。これは石炭火力発電によるCO2排出量が、天然ガスを使う火力発電と比べると2倍ほどと多いためです。

EUではフランス・イタリア・アイルランド・スペイン・オランダ・デンマーク・ポルトガル・フィンランドの8ヵ国が石炭火力発電の廃止を宣言しています。ドイツは2022年12月までに原子力発電所をすべて停止させる予定ですが、石炭火力発電の全廃は2038年を目標としています。しかしポーランドやチェコ、エストニアといった石炭火力発電への依存度が高い国は、当分の間は使い続ける意向を示しています。

日本の場合はどうかというと、現在でも22基の大型石炭火力発電の建設と建設計画が進行中です。さらに途上国への輸出も続いているという状況になります。

日本で石炭火力発電の利用が続く理由はふたつあります。まずひとつめは石炭が安定的に供給される資源であることです。たとえば主要エネルギーである石油は、主に中近東で算出されることから政情不安の影響を受けやすいという側面を持っています。1973年のオイルショックのようなことが起これば、国民のライフラインに大きな影響を与えます。

そしてもうひとつは安全性です。2011年の東日本大震災にみるように、原子力発電は自然災害時には大きな脅威となります。とはいっても、このまま石炭火力発電を使い続けていると、地球温暖化という大きな問題を解決することができません。そこで提唱されたのが、排出されるCO2を活用することで、結果的にその排出量を減らすという考え方です。

カーボンリサイクルの仕組み

カーボンリサイクル
実際にカーボンリサイクルとはどのような形でCO2を利用するのでしょうか。

まず1つは、排出されたCO2を直接回収して水素などと反応させ、燃料となる物質を合成する方法があります。そしてそのまま火力発電や石炭を使う製鉄所、化学工業施設へと戻して燃料として使います。これは一度発生したCO2を使用するので、燃料として再利用した際に排出されるCO2の量が回収したCO2の量よりも下回れば、実質的に排出量を削減することになります。そして石炭などの化石燃料の消費量も削減することにつながります。

もうひとつは、石炭火力発電などの発生源から直接CO2を回収するのではなく、大気中のCO2を回収する「大気直接回収」と呼ばれる技術を使う方法です。この技術は世界各国で開発が進行中ですが、発電所や製鉄所などから直接CO2を回収するよりも大きなエネルギーを必要とします。

そこで植物における光合成のような、いわゆるバイオマスを利用する方法が模索されています。

カーボンリサイクル技術ロードマップについて

カーボンリサイクルに関してはまだ技術が確立されていません。そこで経済産業省は、「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を策定しました。ここではCO2を利用可能な物質に変えるための技術やコスト低減のための課題、技術進展のためのステップを記載しています。まず2030年頃からポリカーボネートなどの化学品や液体燃料、コンクリート製品などを普及させる計画になっています。

そして日本はこのカーボンリサイクル技術ロードマップを、2019年6月に開催されたG20エネルギー・環境大臣会合で発表しました。先進国やアジア・アフリカなどの途上国などと共有し、普及・促進をはかるためです。

そしてこの会合において、石炭資源が豊富なオーストラリアと「カーボンリサイクルに関する協力覚書」を締結しました。これにより二国間で共同プロジェクトを立ち上げて、カーボンリサイクルの研究開発が行われることが期待されます。

地球温暖化が続けば、2100年には海水温の上昇と熱膨張、氷河などの融解により海面は最大82センチメートル上昇すると予測されています。そこでCO2の排出削減とともに、そのリサイクル活用による削減も技術開発が進められようとしています。レオパレス21もCO2削減に向けてさまざまな取り組みをしています。2018年3月期よりCO2排出量を集計し、省エネタイプの賃貸住宅提供などによりCO2排出量削減を実現しています。

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